ユニキャスト・ブロードキャスト・マルチキャスト
宛先の指定方式とは
ネットワーク通信は「誰に届けるか」の指定方式でいくつかに分類できます。[[IPアドレスとサブネット]] を宛先にした普段の通信はほとんどが1対1ですが、それ以外の方式も裏側で日常的に使われています。
| 方式 | 宛先 | 例 |
|---|---|---|
| ユニキャスト | 特定の1台 | Web閲覧、メールなど通常の通信 |
| ブロードキャスト | 同一ネットワークの全員 | ARP要求、DHCPの発見 |
| マルチキャスト | 参加を表明したグループ | 映像配信、[[ルーティングプロトコル(OSPF・BGP)]] |
| エニーキャスト | 同じアドレスを持つ複数台のうち最寄りの1台 | 公開DNSサーバー、CDN |
ユニキャストとブロードキャスト
ユニキャストは特定の1台へ届ける1対1の通信で、インターネット上の通信の大半を占めます。
ブロードキャストは同一ネットワーク内の全機器へ一斉に届ける方式です。「相手がまだ特定できない」場面で使われます。
- [[ARP]] — 相手のMACアドレスが分からないので全員に問い合わせる
- [[DHCP]] — 自分のIPアドレスすらまだ無い端末が、サーバーを探すために全員宛で発信する
ブロードキャストはルーターを越えず、届く範囲は [[LANとWAN]] でいうLANの内側(ブロードキャストドメイン)に限られます。ネットワークが大きいほど全員宛の通信が負荷になるため、サブネット分割で範囲を絞るのが設計の基本です。
マルチキャストとエニーキャスト
マルチキャストは「聞きたい」と参加を表明したグループのメンバーだけに届ける方式です。同じデータを100台へ送るとき、ユニキャストなら100回送る必要がありますが、マルチキャストなら1回の送信を経路上で必要な分だけ複製して届けるため、映像のライブ配信や株価配信など同じデータを多数へ同時に届ける用途で効率的です。信頼性より効率を優先する場面が多いため、[[UDP]] と組み合わせるのが一般的です。
エニーキャストは、同じIPアドレスを世界中の複数サーバーが共有し、ルーティングによって送信元から最も近い1台へ届ける方式です。公開 [[DNS]] サーバー(8.8.8.8 など)や [[CDN]] が代表例で、利用者は意識せずに最寄りの拠点へつながります。
初学者向けポイント
- 迷ったら「1対1=ユニキャスト、全員=ブロードキャスト、グループ=マルチキャスト、最寄りの1台=エニーキャスト」と対応で覚える
- [[IPv6]] にはブロードキャストが存在しない — 全員宛の用途はマルチキャストに統合された
- [[パケットキャプチャ]] でLANを覗くと、ARPやDHCPのブロードキャストが定期的に流れているのが観察できる
関連技術とのつながり
- [[IPアドレスとサブネット]] — ブロードキャストの届く範囲はサブネットの区切りで決まる
- [[ARP]] — ブロードキャストを使う代表的なプロトコル
- [[DHCP]] — IPアドレス未設定の端末がブロードキャストでサーバーを探す
- [[UDP]] — マルチキャスト配信と組み合わせて使われる
Q: ブロードキャストの説明として正しいのはどれ?
- [ ] インターネット全体の機器へ一斉送信する
- [x] 同一ネットワーク内の全機器へ一斉送信する(ルーターは越えない)
- [ ] 参加を表明した機器だけへ送信する
解説: ブロードキャストが届くのは同一ネットワーク(ブロードキャストドメイン)の内側だけで、ルーターを越えません。参加表明したグループへ届けるのはマルチキャストです。
Q: マルチキャストが効率的な理由として正しいのはどれ?
- [x] 1回の送信を経路上で必要な分だけ複製してグループへ届けるため
- [ ] 受信者ごとに個別のコネクションを張って確実に届けるため
- [ ] 常に最短経路だけを使って通信するため
解説: 同じデータを多数へ届けるとき、ユニキャストのように宛先の数だけ送信する必要がなく、経路上で複製されるのがマルチキャストの強みです。
Q: エニーキャストの説明として正しいのはどれ?
- [ ] 全員に届けてから最初に応答した1台と通信する
- [ ] 同一LAN内の全機器が同じアドレスを共有する
- [x] 同じIPアドレスを複数サーバーが共有し、送信元から最寄りの1台へ届く
解説: エニーキャストはルーティングの仕組みを利用して最寄りのサーバーへ誘導する方式で、公開DNSやCDNで使われています。