IDSとIPS

IDSとIPSとは

IDS(Intrusion Detection System)は侵入検知システム、IPS(Intrusion Prevention System)は侵入防止システムです。どちらもネットワークやサーバーを流れる通信を監視し、攻撃と思われるパターンを見つけ出します。

違いは見つけたあとの動きです。

  • IDS(検知)— 管理者にアラートを上げる。通信そのものは止めない
  • IPS(防止)— その場で通信を遮断する。攻撃はブロックされる

「警備カメラ」が IDS、「自動で閉まるシャッター」が IPS、とイメージすると分かりやすいでしょう。

ファイアウォールとの違い

[[ファイアウォール]] は「どのIP・どのポートの通信を通すか」という入口の許可リストを管理します。しかし、許可したポート(たとえば443番)を通ってくる攻撃までは見分けられません。

ファイアウォールIDS / IPS[[WAF]]
見るもの送信元・宛先・ポート通信の中身のパターンWebアプリへのリクエスト内容
得意分野不要な通信の遮断既知の攻撃・不審な挙動の検知Web特有の攻撃
位置づけ第1層第2層アプリ直前の層

3つは競合ではなく役割の違う層です。組み合わせて多層防御を作ります。

検知の方式

方式仕組み弱点
シグネチャ型既知の攻撃パターンと照合する未知の攻撃を見逃す
アノマリ型ふだんの通信の傾向から外れた挙動を検知する誤検知が多くなりがち

運用のポイント

IDS/IPS は入れて終わりの装置ではありません。運用でつまずきやすいのは次の2点です。

  • 誤検知(フォールスポジティブ)— 正常な通信を攻撃と判定してしまう。IPS では業務が止まるため、まず IDS モードで様子を見てから遮断を有効化するのが定石です
  • 見逃し(フォールスネガティブ)— 検知ルールが古いと新しい攻撃をすり抜けます。シグネチャの更新が欠かせません

アラートは [[監視とアラート]] の仕組みに集約し、「誰がいつ確認するか」まで決めて初めて機能します。

初学者向けポイント

  • 暗号化された通信の中身はそのままでは読めません。TLS を一度ほどいて検査する構成もありますが、プライバシーと性能への影響を考える必要があります
  • 通信の中身を実際に確かめたいときは [[パケットキャプチャ]] が役に立ちます。大量アクセス型の [[DDoS攻撃と対策]] は IPS だけでは受け止めきれないため、上流の対策サービスと組み合わせます

関連技術とのつながり

  • [[ファイアウォール]] — 入口で通信を絞る第1層。IDS/IPS はその先を見る
  • [[WAF]] — Webアプリに特化した検査層。IDS/IPS と守備範囲が異なる
  • [[DDoS攻撃と対策]] — 量で押す攻撃は上流の吸収が必要
  • [[監視とアラート]] — 検知結果を人に届ける仕組み
  • [[パケットキャプチャ]] — 検知内容を実データで裏取りする
Q: IDSとIPSの違いとして正しいのはどれ?
- [ ] IDSは通信を遮断し、IPSは通知だけを行う
- [x] IDSは検知して通知し、IPSは検知して遮断する
- [ ] IDSはWeb専用で、IPSはメール専用である
解説: IDS は検知・通知まで、IPS は検知に加えてその場で通信を遮断します。

Q: 既知の攻撃パターンと照合して検知する方式はどれ?
- [x] シグネチャ型
- [ ] アノマリ型
- [ ] ラウンドロビン型
解説: シグネチャ型は既知パターンとの照合で検知するため、未知の攻撃には弱いという特徴があります。

Q: IPSを導入するときの進め方として推奨されるのはどれ?
- [ ] 最初から全ルールで遮断を有効にする
- [x] まず検知のみで様子を見てから遮断を有効化する
- [ ] アラートは確認せず記録だけ残す
解説: 誤検知で正常な業務通信が止まるリスクがあるため、検知モードで傾向を確認してから遮断に進めます。