RAIDとディスク冗長化

RAIDとは

RAID(Redundant Arrays of Inexpensive Disks)は、複数のディスクを束ねて1つのディスクのように扱い、速度や耐障害性を高める技術です。

ディスクは消耗品で、いつか必ず壊れます。1台構成ではその瞬間にサービスが停止しデータも失われますが、RAID で冗長化しておけば1台壊れても動き続けられる構成にできます。組み方の違いを RAIDレベルと呼びます。

代表的なRAIDレベル

レベル仕組み耐障害性容量効率主な用途
RAID 0データを分割して複数ディスクへ並列書き込み(ストライピング)なし(1台壊れると全滅)100%速度優先の一時領域
RAID 1同じ内容を2台へ同時に書き込む(ミラーリング)1台まで50%OS領域、小規模サーバー
RAID 5分散書き込み+パリティ1つ1台まで(N-1)/N一般的なファイルサーバー
RAID 6パリティを2つ持つ2台まで(N-2)/N大容量・長時間運用
RAID 10RAID 1 で組んだ組をさらにストライピング組ごとに1台50%データベースなど性能と安全性の両立

パリティ(誤り訂正用の計算値)を使う RAID 5・6 は、壊れたディスクの内容を残りのディスクから計算して復元できます。RAID 0 だけは冗長性が無く、速度のためだけの構成である点に注意してください。

RAIDはバックアップではない

最も重要な注意点です。RAID が守るのはディスクの物理故障だけです。

  • 誤ってファイルを削除した → 全ディスクから消える
  • ランサムウェアで暗号化された → 全ディスクが暗号化される
  • サーバーごと水没・焼失した → RAID 構成ごと失われる

したがって RAID とは別に [[バックアップとリカバリ]] が必須で、拠点ごとの災害に備えるなら [[災害復旧(DR)]] の観点で遠隔地にもコピーを置きます。

運用上のポイント

  • リビルド中が危険 — 故障ディスクを交換した後、データを再構築する処理をリビルドと呼びます。大容量ディスクでは数時間〜数日かかり、その間に2台目が壊れるとデータを失います。RAID 6 が好まれるのはこのためです
  • 故障の検知が命 — 1台壊れても動き続けるということは、気づかないまま放置されやすいということでもあります。監視で必ずアラートを上げます
  • ホットスペア — 予備ディスクを組み込んでおき、故障時に自動でリビルドを開始する構成も一般的です

初学者向けポイント

  • ハードウェアRAID(専用コントローラ)とソフトウェアRAID([[OSの基礎]] の機能で実現)がある。クラウドでは利用者が意識しないことも多い
  • クラウドのブロックストレージは内部で冗長化済み — それでもバックアップは別途必要
  • ディスク単体の種類や特性は [[ストレージの種類]] で整理すると理解が深まる

関連技術とのつながり

  • [[ストレージの種類]] — RAID を組む対象となるディスクや接続方式の基礎
  • [[バックアップとリカバリ]] — RAID では守れない誤削除・改ざんに備える手段
  • [[高可用性設計]] — 単一障害点をなくす考え方の一部としてのディスク冗長化
  • [[災害復旧(DR)]] — 拠点ごと失う事態への備え
  • [[OSの基礎]] — ソフトウェアRAIDは OS のストレージ管理機能で実現する
  • [[監視とアラート]] — 1台の故障に気づけなければ冗長化は意味を失う
Q: 冗長性がなく、1台の故障で全データを失う RAID レベルはどれ?
- [x] RAID 0
- [ ] RAID 1
- [ ] RAID 6
解説: RAID 0 はストライピングのみで冗長性がありません。速度を目的とした構成です。

Q: RAIDについての説明として正しいのはどれ?
- [ ] RAIDを組んでいればバックアップは不要になる
- [x] RAIDが守るのはディスクの物理故障で、誤削除や暗号化被害は防げない
- [ ] RAIDは削除したファイルを自動で復元してくれる
解説: 誤削除やランサムウェアの被害は全ディスクに波及するため、RAID とは別にバックアップが必須です。

Q: 故障ディスク交換後のリビルド中が危険とされる理由はどれ?
- [ ] リビルド中はデータが暗号化されるから
- [x] 再構築に長時間かかり、その間に別のディスクが壊れるとデータを失うから
- [ ] リビルド中は電源が落ちる仕様だから
解説: 大容量ディスクではリビルドに数時間〜数日かかります。この二重故障のリスクに備えるのが RAID 6 です。